ノコギリの歯のようなギザギザなクチバシが特徴的
個人的にはとても好きな鳥。オオハシ同様、クチバシが身体全体の割合の中で突出して大きいというユニークな姿、愛嬌のある顔、カラフルさ。そしてなによりも独特なのが、ノコギリの歯のようなギザギザなクチバシ。クチバシのサイズが大きいため、このようにギザギザになっていたほうが果物を食べやすいのは確かで、環境適応のためであろうが、かといって他にこのような変わったクチバシを持った鳥がいるのであろうか。とにかくいくら見ても見飽きない鳥である。
低木に止まっていることもある

初めてベリーズでムナフチュウハシを見たのは、グアテマラとの国境に近いベリーズ西部のカヨ郡。メインの通りからかなり奥まったところにある小さなホテルを出て小道をぶらぶらと散歩をしていたところ、この道を通る車が途中で止まり欧米人らしき小さな女の子が降りて、盛んに木を指さして家族に何かを言っているのをみかけた。近づいてみると、その子がまさにナフチュウハシを見つけていたのだった。
ムナフチュウハシも甘い果実は大好き
未舗装のでこぼこ小道のため車が徐行していたとはいえ、その女の子の目の良さには驚くばかり。木が低木だったことや、ムナフチュウハシの姿がユニークなのも見つけやすい要因だろう。“親戚”のようなサンショクキムネオオハシがいつも高い木にいることが多いので、背の低い木にいるのは意外だった。よく見るとその木になっていたのはサワーサップ(和名はトゲバンレイシ)という甘酸っぱい果実がなる木の枝の中で、ギザギザのクチバシで果実をついばんでいた。

サワーサップは中米原産説もあり、中米ではよく食べられる果物。甘さと酸っぱさのバランスが絶妙で、かつ果肉がとても柔らかいので、つるりと食べられる。ジュースで飲んでも美味しい。そんな果実なので、ムナフチュウハシも食べるのに夢中で、自分のことを観察する人間のことなどお構いなしだったのかもしれない。
紐のような針金のような謎の舌

じっと見ていると、嬉しそうに口を開けたりしている。そして、よく観察すると、クチバシの中で一本の紐のようなものが伸びている。どう見ても、それは舌である。チュウハシ、オオハシとも共通してこのような舌を持っているようだが、紐のようでもあり、針金のようでもあるこの舌はどのように機能するのだろうか。
ただ、この後も何度か別の場所でムナフチュウハシを見たが、サンショクキムネオオハシが人の姿をみるとすぐに逃げてしまうことが多いのに比べ、ムナフチュウハシはカメラを向けても意に介せずに果実、木の実を食べ続けていたりする。
“人見知り”しない鳥?
ある時は、10メートルぐらいしか離れていない木に、次々に飛んで来たことがあった。結局、最大で同時に4羽が止まった。特に果実がなっているわけでもない、どちらかという枝が丸出しの樹木だったので、単に羽休みだったのだろうか。あるいは、野原でぼーっとしている人間をからかいに来たのか?
“人見知り”しない鳥なのかもしれない。



